起床後からのめまい、悪心、嘔吐(72歳、男性)
DWIとFLAIR像とで延髄の右外側に高信号域を認める。
これよりWallenberg症候群であると診断。
Wallenberg症候群は後下小脳動脈,または椎骨動脈分枝の閉塞により起こり、
①病巣側の小脳失調
②病巣側顔面の温痛覚障害+健側半身(首から下)の温痛覚障害
③障害側のHorner症候群(縮瞳,眼裂狭小,眼球陥凹,障害側顔面の無汗)
④回転性めまい,悪心・嘔吐
健側に起こるのは首から下の温痛覚障害のみ。
嚥下障害や味覚障害を認めることもあるが、錐体路や内側毛帯は内側を通過するため、手足の麻痺や深部感覚障害は生じない。
延髄内側が障害されるのはDejerine症候群と呼ばれる。
椎骨動脈系の血管障害ではアテローム血栓性だけでなく塞栓性も多く、特に若年者のWallenberg症候群ではしばしば動脈解離が原因となるため注意が必要である。
参考文献
1) 鈴木重明,田中耕太郎:【ベッドサイドの神経診断】病巣部位診断の原則 延髄.Clinical Neuroscience 21:326-328, 2003.
2013年 日本内科学会セルフトレーニング問題 Q7.より