冬眠から目覚めます~認知症の方への対応 1~

4年近く、冬眠しておりましたが、目覚めることにします。

以前は自分のための学習記録を目指しておりましたが、今後は、日常診療や生活でのヒントなどを、短く綴っていくことにします。

 

まず第一弾として、

認知症の方への対応 1>

 短期記憶がなくなっている方の発言に対して、訂正したり、誤認を修正しようとする方がいらっしゃいますが、本人にとっての事実を曲げて、得なことはありません。

 

・ご飯を食べたのに、「ご飯はまだか」と尋ねる

 本人に取っての事実は「ご飯は食べていない」訳ですので、「食べたでしょ」の一言は、反発を生むだけで、それがお嫁さんの言葉だったりすると「うちの嫁は私にご飯を作らない意地悪をする」と言うことになるわけです。

 ですから、教科書的には「今、準備しているので待っていてください」と話し、そのうちに「ご飯を食べていない」と認知したこと自体も忘れることさえあります。

 陰性感情は強く残るので「食べさせてもらえない」と感じてしまっていると、いつまでも同じように「ご飯はまだか」と言うこともあるかもしれません。その時は、思い切って、もう一度食事を提供すること(そんなに豪華でなくて良い)も一つのやり方でしょう。また、たびたび、同じ発言があるようなら、食後に食器を片付けないことで、本人に「食べ終わった」ことを認知できるようにすることも一案です。こちらも、陰性感情が強いと「私の分を誰かが食べた」ことになるかもしれません。

 

 一つの事象だけでは、なかなか、解決しないケースもあると思いますが、できるだけ、本人が安心して、暮らせるような生活の仕組みや仕掛けをしていく事で、このような対応困難な行動が減っていきます。

 

 ご家族、関係者は大変だとは思いますが、丹念に、女優、俳優になって、演じて頂ければと思います。