かかりつけ医について

 「まずは、かかりつけ医に」という言葉をよく聞かれると思いますが、「かかりつけ医」の定義がないために、それぞれの解釈の違いから、誤解や行き違いが起こっているお話を聞きます。

 

 当院で患者さんから伺った他院の先生のコメントがあります。「診察回数も少ないし、経営的メリットがないのであなたのかかりつけ医ではない」や「定期的な診察がないのでかかりつけ医ではない」などがありました。医療的治療や経営的な視点で、そのような発言をする医療者がいらっしゃる可能性はあると思いつつ、少し寂しいと感じました。

 

 個人クリニックを開いている私が考える「かかりつけ医」については、少なくともワクチン接種や健康診断などの受診であっても、受診歴があれば「かかりつけ医」と考えていただいて良いと思っています。それに加えて、患者さんにとって近隣で行きやすいクリニックの1つであれば「かかりつけ医」と思ってくださって良いと考えています。

 そもそも、多くの方は定期的な通院を必要としない健康状態のことが多く、何か身体的な課題が見つかったときに「まずはかかりつけ医に」と言われたら困ってしまいます。もちろん、口コミや評判、紹介サイトなどを参考に、距離や場所を考慮せずに決めるのもありだと思います。

 今回のコロナウイルスワクチン接種に当り、多くの当院初診の方に接種させていただき、お薬手帳等から通院歴や投薬内容なども確認させていただきましたので、今後は何かあればご相談に来ていただいて良いかと考えています。

 

 内科以外の疾患に関しても、自分なりに知識のブラッシュアップはしている一方で、最新治療は専門家にお願いするケースも多く、先ずは来院いただき必要に応じて専門医や病院を紹介する、その様なスタンスでかかりつけ医として務めて参りたいと考えています。