今年(2021-2022)のインフルエンザ

 マスメディアの報道で「昨年、インフルエンザが流行しなかったので、今年は大流行する可能性がある」と言うのを良く聞くようになりました。これは、日本感染症学会からの「2021-2022年シーズンにおけるインフルエンザワクチン接種に関する考え方|ガイドライン・提言|日本感染症学会」によるところが大きいと思います。

 上記にも記載されている通り、インフルエンザの流行が見られたインドやバングラデシュではワクチンが普及していませんし、「例年の1.5倍の大きさの流行になる可能性」を指摘する英国では、日本ほどマスクをする習慣がありません。医療では、最善の結果を願いながら最悪に備えるのが常ですので、学会としてワクチン接種を推奨する立場にあるのは間違いがありません。

 

 一方で、インフルエンザも「感染症」であり、感染症が成立する3要素からも考えてみても良さそうです。

感染症
①病原体(感染源)
②感染経路
③宿主
この3つの要因が揃うのことで感染します。

 

1.病原体について

インフルエンザウイルスになります。毎年変異をしますが、ウイルス単体で増えることはできないので、人など生物の中で増えるわけですから、感染者が少ない現状では、ウイルスが多く出回る事はないようにも思います。

 

2.感染経路について

現在のようにマスク、手指消毒が徹底されている状況であれば、[人-人]間の感染経路はかなり制限されますので、昨年同様の感染防御できる可能性が考えられます。

一般に北半球の冬に流行するインフルエンザウイルスは、その前の南半球の冬に流行したウイルスであることが多く、現在のように、[国-国]間の交流が減っている状況では、日本に持ち込まれるウイルスも限られるのではないか、と考えられます。

 

3.宿主について

学会が懸念する、昨年の流行がなかったために、個人の免疫がない恐れがある一方で、数年前にインフルエンザの流行の中で、高齢者が発症しにくい事があったように、1年罹患がなかったからといって、直ぐに免疫が0になることもないとの予測ができます。また、睡眠不足、栄養不足、他の疾患で抵抗力が低下しているなど、ウイルスに対抗できる免疫力、体力が不足すると感染しやすくなる事の方が、現実には課題になると考えられ、これは、個々の努力次第で、感染の可能性を低くすることはできるわけです。

 

流行するかしないかは、この3つの要素のかけ算によるところが多いので、1.2.が0に近いのであれば、流行の可能性は低いように思います。大切なのは、個々の体調の管理をして、コロナウイルス感染対策同様、マスク着用、手指消毒を継続することだと考えます。

 

以上からは、インフルエンザワクチン接種を強く推奨される方は、重症化する可能性のある高齢の方、小児の方(特に2歳以下のインフルエンザ罹患歴のない方)となります。もちろんそれ以外の方で、希望される方は接種すべきと思いますが、ワクチンの供給量が例年の7割程度とのことですので、場合によっては、今年の接種を受けずに済ませて良いかもしれません。

あくまで、私見ですので、最終的には個々で判断するか、かかりつけの先生にご相談ください。

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