アスペルガー症候群
自閉症のグループに入る障害の一つ。
学習障害や知的障害などの発達障害と同じとされ、知的障害のない自閉症とも呼ばれる。「社会性」「コミュニケーション」「創造力と想像力」の3つの障害を持つ。
1944年にオーストリアの小児科医、ハンス・アスペルガーが『小児期の自閉的精神病質』という論文を発表した事にちなんで、病名がつけられたが、当時『アスペルガー症候群』があまり話題になることはなく、1981年、イギリスの児童精神科医、ローナ・ウィングがアスペルガーの業績を評価して世の中に広く知られる事になった。
１．「社会性」について
他人といる時にどのような態度をとるかという事。
大勢の中でどうやって過ごしていいのか分からずに、一人で遊ぶなど同年代の子供達と接する事が難しい。社会の中で言ってはいけない言葉などの「暗黙のルール」がアスペルガー症候群の子供達は良く分からないため、太っている人に『太ってるね』や年配の先生に『おばさん』などと人が傷つくような言葉を、知らないうちに言ってしまうことがある。また、知らない人に近寄って一方的に自分の興味あることを矢継ぎ早に話すということもある。
２．コミュニケーションについて
自分の思っていることをどの様に相手に伝えるか、相手の言葉を理解出来るか、と言うこと。
アスペルガー症候群の子供達は、友人よりもテレビや本から言葉を覚える事の方が得意で、話し方が大人のような口調で話したり、ですます調の敬語を使ったり、辞書等の中から覚えた難しい言葉を使ったりする。基本的に会話のキャッチボールや、その場の会話の雰囲気を察する事が苦手で、曖昧な質問をされて意味が読み取れないと、逆に「どういうことか？」と質問を返す。行間を読むことを求められる日本ではこの点で、いわゆるＫＹ（空気が読めない）と認定されている可能性はある。
３．創造力と想像力について
ふり遊び、みたて遊び、こだわりなど。
アスペルガー症候群の子供達は、1人遊びが増えて同じ事の繰り返しを好む傾向にある。例えば「ごっこ遊び」などの、もし○○だったらの想像的な遊びが苦手で、友達との相互の遊びが出来ない為、踏み切りで電車が来て通り過ぎるのをずーっと見続けていたり、ビデオの好きな場面を繰り返しみていたり、ゲームに熱中すると完全攻略するまでやり続けるなどの特徴がある。
特徴
・日常行動をパターン化してしまう。
朝起きたら、雨戸を開けることから始まり、何時何分に家を出て・・・と言うように、いつどんな時でも同じ行動を繰り返すため、学校の時間割が急に変更になるという事に、強い不安感をおぼえて戸惑う。もし変更する場合は詳しく理由を説明してあげて、不安を取り除いてあげると良い。社会での暗黙のルールを読み取る事が苦手なので、そのつど指示やルールは明確に分かりやすく説明してあげる事が大切。また、他人に対しても規則的な行動を好み、遅刻した生徒に説教をするなどの行動も見られる。
・騒々しい場所が嫌い
不快な音がするとパニックやかんしゃくをおこしやすいので、もし、なにか不適切な行動をしても、大きな声で怒鳴ったり、怒ったりすることは避けて、安全で静かな場所で生活できるような配慮が必要。
・優れた記憶力
そのため否定的な言葉や怒られた記憶は、いつまでも頭の中に残ってしまいます。
小学校の時に先生に怒られた記憶を大人になってからも覚えていて、抗議文を送るなどという事もある。できるだけ良いところを見つけてあげて、ほめてあげると良い。
長所
・みんなが無視してしまうようなﾙｰﾙも、きちんと守ろうとする真面目さがある。
・常識にとらわれずユニークな発想の持ち主で、おもしろいダジャレを思いつくのが得意。
・気に入ったことやのめり込んだものへ熱心さはピカイチ。
・好きなことは最後までやり遂げる。
・年齢や身分で相手を判断せず、平等に接することが出来る。
・友達を裏切るのは良くないと思っている誠実さがある。
・知識欲が旺盛で努力家。
・熟語や専門用語に関心が高いため、たくさん知っている。そして暗記が得意。
短所
・不器用で無表情
・自分の思いを言葉で表現するのが下手で苦手なため、誤解されやすい。
・社交辞令・冗談が分からない。
・リセット、応用が苦手。
・やっていることを中断されるとパニックを起こしてしまう。
・二つ同時に何かをすることが出来ず、３人以上になると会話が出来なくなってしまう。
・昔のこと、特に嫌なことを鮮明に覚えているためフラッシュバックを起こしてしまう。
・同じ事を何度も言う・独り言が多い。
・突然体調を崩す事がある。
・空気が読めず、相手の考えや気持ちが分からないため苦労してしまう。
・他人から言われたことをいつまでも気にしてしまう。
