Twitterより;喫煙に関して

 もともと、つぶやきの140字で多くのことを伝えるのは困難で、一部の文言を取り上げて非難したり、別の次元の論点にすり替えたりする/されることも多く、Twitterで喫煙問題を語ることは難しい。世界禁煙デーから一月がたち、ワールドカップや選挙で、一気に下火になった喫煙問題をTwitterで見かけた文言について、自分なりに解釈してみようと思う。ちょっと、書くつもりが大変長くなったので、読む気が失せるような気がしますが(^^;

 引用させていただいた皆様、勝手に取り上げてごめんなさい。フォローしている以外の人もいるし、つぶやきもずいぶん先に流れましたし、お許しいただきたく思います。


 「タバコ吸っていたのをやめるための治療に健康保険が適用されたり、禁煙成功したら会社から報奨金がもらえたりするのは、確かに禁煙のモチベーションは高まる。でも、不良が更正したから偉いと言ってることと変わらないので、最初から吸わない身としてはまるで納得できない。」(非喫煙者

 非喫煙者の代弁として、「何で喫煙者だけ優遇されるの?」って気持ちはよく分かります。でも今一度考えてください。法治国家の日本では、法の善悪に拘わらず、法を遵守することを求められますので、未成年者喫煙禁止法(明治33年3月7日法律第33号)に従えば、未成年が喫煙すれば「不良」と言えますが、成人した方の喫煙は合法であり、「不良」と言えないのです。そして、何より喫煙者を「喫煙の生理的作用やリスク」を知らされずに、吸わされ続けている「被害者」という位置づけで見られており(事実、現在の喫煙者のほとんどが喫煙の教育を受けていない)、喫煙を続けることをニコチン依存症という病気として捉えているため、健康保険が適応されているのです。
 また、「更正したから偉い」ので、「報奨金」を出している訳でもないのです。昨今は経営者側も、社員の健康管理や業務効率から喫煙問題を考えたときに、勤務時間内の喫煙による労働時間の短縮、喫煙の健康被害による通院や入院による労働効率の低下よりも、禁煙支援をした方が経営的にもメリットが大きいのです。つまり、経理の視点では「報奨金」というよりも、「厚生費」として処理されていることと思います。つまり、「たばこ止めて偉いねぇ」との視点でお金を出しているのではなく、「たばこ吸わないことで病気にもならず、勤務時間もたばこ吸う時間がなくなってしっかり働いてね」という意味合いなのです。
 3万円程度の報償費を出しているところから、保険診療の実費を負担しているところもあります。禁煙治療は、館ひろしさんがやった、飲む薬での治療の場合、保健適応しないで自費なら約6万円、3割負担で1万8千円になります。つまり3万円の報償費なら、禁煙治療をしても余りある額、と言えます。
 最近は、もう一歩進んで、入社してから禁煙を実行するのは大変、と言うことで、採用条件に非喫煙者を挙げる企業も多くなっています。大学の保健室などでも、就活のために禁煙支援をしているところも多くあるようです。
 企業の取り組み例としては、ジョンソン&ジョンソンの職場禁煙ポリシーが挙げられ、2007年より実行されています。http://www.jnj.co.jp/group/environment/no_smoking_policy/index.html


「結局、単なる自分の好き嫌いにもっともらしい屁理屈つけただけな連中が多数派になっただけに見えて、それが心底気に食わない>禁煙ブーム」 (元喫煙者)

 まず、多数派かどうかと言う意味では、日本では非喫煙者より喫煙者が多かったことはありません。男性に限れば、喫煙者>非喫煙者であった時代はあります。まぁ、そこは問題ではありません。
 喫煙者や元喫煙者の方にとってみれば、喫煙をただの好き・嫌いの問題、つまり、喫煙は個人の嗜好の問題、と言う意識が強くあることと思います。また、元喫煙者の中で禁煙を自力でやり遂げた方にとっては、「喫煙は病気」というとらえ方に異論がある方も多くいらっしゃいます。もちろん、麻薬や覚醒剤を代表とする激しい禁断症状をイメージすると、「喫煙なんか依存じゃねぇ」というのもあながち間違いとも言いきれません。確かに狭い意味では、依存じゃないとも言えますが、「依存」とは、その行為(薬物に限らず、賭け事だったり、ネットだったり、TVゲームも)で利得を感じることを言うのであって、禁断症状の有無で判断するものではありません。つまり、依存の状態というのは、心地よさを得た者がその「心地よさ」を自分にとって利益のある「報酬(効果)」と認識すること、と言えます。
この効果があれば、禁断症状がなくても、広い意味では「依存」です。ですから、「たばこを1週間くらい吸わなくても大丈夫だった」から依存症でない、のではなく、「たばこを吸うことが好き」であれば「依存」と言えるのです。
 誰だって楽しいとか感じられる事はしたくなると思います。一般的には、この報酬効果が大きければ大きい程、繰り返し使用するようになり反復した利用になります。 これが「はまりはじめた」状況です。さらにそれで反復利用(報酬効果の繰り返し)を続けるとなるとこの段階から、薬物を使用しなかったり、賭け事やゲームをやめたりすると物寂しさや、空虚感を抱くようになります。もっとしたいな〜と思うのです。
 「止める気になればいつでも止められるから、喫煙は依存じゃなく嗜好の問題だ」という個人的な感覚は理解できますが、それに捕らわれていると、販売会社の思うつぼ、というか、脳生理学的な視点を全く欠いた、無知な消費者で終わってしまいます。
 前置きが長くなりましたが、喫煙問題は個人の「好き・嫌い」の問題(個人的に好きな人も嫌いな人もいますが)ではないわけです。「もっともらしい屁理屈」でもなくて、語られている多くの反たばこのデータは、科学的な調査をした論文が、しっかりした審査がされているジャーナルに掲載されたものばかりであり、販売会社が決して語りたくない事実がそこにはあるのです。もちろん、そう言った事実の真意を理解しないまま、ただ単なる「嫌煙家」(この言葉は販売会社が二項対立を煽るために作った言葉であり、自分としては使いたくない言葉です)として、自分の嗜好を押しつけているだけに見える人が居ることも事実です。ただ、そう言った人が言っていることでも、多くは科学的に正しいことが多いのも、また事実あります。たとえば、「臭いがするから嫌っ」というのも、「臭う」ということは、副流煙にせよ、サードハンドスモーク(http://etemonkey.cocolog-nifty.com/tobacco/2009/01/post-128c.html)にせよ、喫煙による有害物質を吸わされていることには違いがない訳で、「臭いが嫌い」なのは個人の嗜好の問題かもしれませんが、「臭う」以上は被害が及ぶ可能性がある、と言うことになります。
 「多数派になったように見える」のは、ようやく、たばこの隠された事実が多く知れ渡ることになり、多くの人が、たばこの矛盾を感じ、気づくことで、声を上げることが増えたためだと思われます。こうした事実を、「反たばこ派のでっち上げ」と一蹴する方もいらっしゃいますが、データや論文を読んでない人がほとんどです。嘘だと言い切るなら、ネガティブデータを出せばいいと思うのですが、販売会社さんでさえ、反たばこのデータが事実なので出しようがない、というのが本当のところでしょう。つまり、最近、反たばこの流れに急に傾いてきたので「ブーム」のように感じられますが、ようやくいろんな事実を知らされることになり、皆が気付きはじめた、と言うことです。最近、原発についてもコメントしていますが、「国が自分に都合のいいことだけを国民に伝え、国民を欺いている」と思われる構造は全く一緒で、これについては「道路行政」も含めて、一度、まとめて書いてみるつもりです。


「タバコ税の使い道を限定するのはいいかも。ただ、タバコを吸うのは個人の嗜好だから、副流煙に気をつけるなど周りに配慮してくれたら命懸けでその嗜好を貫いてもらいたい気もする。」(非喫煙者

 嗜好でないのは上述した通り。問題にしたいのは、自分の知人・恩人にも本当に「命懸けでその嗜好を貫いてもらいたい」と思っているか、ということです。非喫煙者は、自分に被害が及ばなければそれでいいのでしょうか。個人主義的にはそれでいいのかもしれません。自分の肉親だったり、愛する人にも「命懸けでその嗜好を貫いてもらいたい」のでしょうか。非喫煙者が喫煙を自分の問題でないと無関心でいることは、決して正しい対処でない、と思います。これについては、内面的なことも多く関わり、現時点でうまく言語化できないので、改めて書きたいと思います。


「”あなたの税金は健康保険に適用されます”として,不良を更生するためにも一箱10000円ぐらいにしたほうがよいかも。」(元喫煙者)

 「不良」でないのは上述した通り。
 たばこ税を健康保険に当てるのは理に適っているとは思います。'05年度の医療費が33兆円、たばこ税収が2兆円ですので、たばこ販売数が変わらない前提なら、5,000円/箱にすればたばこ税で医療費がほぼまかなえることになります。つまり、医療費がただになると言うことです。実際には、販売数が変わらないわけがないので、10,000円/箱にしても、販売数が半分程度の落ち込みなら、たばこ税で医療費を賄えることになります。
 実はたばこの値段を上げる意味は、喫煙率の低下というより、未成年者が購入できないようにする意味の方が大きいのです。イギリスなどでは貧困層への対策、と言う言い方をしているメディアもあります。
 また、10月から100円程度上がりますが、たばこ税が上がるのは3.5円/本なので、20本入りなら70円/箱で、残りは販売会社の儲けになりますから、ある意味、便乗値上げと言えます。意外とこの事実は伝えられていませんが、株主総会絡みの記事で書かれているものもあります。マスメディアも大広告主であるたばこ販売会社に不都合な記事は書きにくい、と言うことです。ガソリン暫定税率が一時なくなって、復活する時にはこぞって「便乗値上げは許さん」と書いていたにも拘わらず、です。ガソリン販売会社の広告料はたががしれている、とも言えますw
JT株主総会、たばこ増税「需要減やむをえない」 :日本経済新聞 JT株主総会、たばこ増税「需要減やむをえない」 :日本経済新聞 JT株主総会、たばこ増税「需要減やむをえない」 :日本経済新聞 このエントリーをはてなブックマークに追加

 長すぎて、ここまで読む方はほとんどないでしょうが、とりあえず、書いたのであげておきます。ご批判もご賛同もお願いします。そういえば、本田が「応援してくれた人も、批判してくれた人も感謝」と言ってましたが、大口をたたきながらも、そう言う謙虚な姿勢もあるところが、ビッグプレイができる所以なのかもしれません、と結んでおきます。