消化器症状と漢方エキス

 問題は、開腹術後の癒着が原因と考えられる麻痺性イレウスを起こす症例で、過労や冷えが増悪因子となっている。
 手術勤務では、室温の低さのため,長時間勤務で腸管の血流も障害を受ける。腹痛と便秘はサブイレウス徴候を疑わせ、腸管血流を改善する大建中湯が適応となる.大建中湯は術後イレウスの予防に外科領域でよく用いられるが,本例のようにイレウスを繰り返す例にその予防として用いることもできる.

選択肢考察
(a)潤腸湯は(e)の大黄甘草湯とともに大黄(センノシドA が含まれる)を含む処方である。高齢者の便秘で水分がなく,ころころした便の場合に用いる。
(b)六君子湯機能性胃腸症に対し、NOを介して拡張能を改善することによって胃の蠕動運動を亢進させるが、腸管運動にはあまり作用しない。
(c)大建中湯に含まれる乾姜(生姜を蒸したもの)のショウガオールは腸管血流を改善し、山椒のサンショールが蠕動運動を刺激する。
(d)半夏瀉心湯は食べ過ぎなどによる下痢に対して用いることがある。
(e)大黄甘草湯は大黄が主薬で,下剤として用いる。

参考文献
1) Yoshikawa K, et al : The effects of the Kampo medicine (Japanese herbal medicine) “Daikenchuto” on the surgical inflammatory response following laparoscopic colorectal resection. Surg Today 42 : 646-651, 2012.
2) Olaku O, White JD:Herbal therapy use by cancer patients : a literature review on case reports. Eur J Cancer 47:508-514, 2011.


日本内科学会 2013年セルフトレーニング問題 Q.13より


第2類医薬品を紹介したページもあるが、一般の方はこういうところを参考に買ってるんでしょうねぇ。
http://www.est.hi-ho.ne.jp/abes/hyakkaen08/hyakkaen08-1.htm