遠位尿細管性アシドーシス

遠位尿細管におけるH+の分泌障害により、尿の酸性化障害を生じ、HCO3-↓となるが、Cl↑となるためanion gap正常代謝性アシドーシスをきたす。

〈鑑別〉
原発性アルドステロン症:低カリウム血症は認めるが、アルカローシスをきたす
・Bartter症候群:低カリウム血症は認めるが、アルカローシスをきたす
・Fanconi症候群:代謝性アシドーシスをきたすが、アシドーシスのために尿pHは5.5以下に低下。 
         近位尿細管障害により尿糖が陽性。
         高齢者では薬物や重金属中毒の場合以外は稀。

〈症状〉
・低K血症:四肢脱力
・多飲・多尿(尿濃縮力低下)
・ECGで、T波平低化とU波が出現する
・骨からのCa遊離:X線で骨軟化症、腎石灰化、腎結石。

〈検査〉
・ 高Cl性代謝性アシドーシス:血中Cl↑、HCO3-↓、anion gapが正常
・ 遠位尿細管の酸排泄能低下:NH4Cl負荷で、尿pH5.5以下にならない

〈治療〉
・Ⅰ型の方がⅡ型よりも臨床症状は重いが、治療にはよく反応する。
・治療の目標は、代謝性アシドーシスの補正にあり、血中HCO3-を正常化するため、アルカリ製剤(重曹など)を補充する(血中HCO3-が10mEq/l以下では、心拍出量低下を招く)。
・ Shohl液(クエン酸含有アルカリ製剤)は、結石防止となる。


日本内科学会 2013年セルフトレーニング問題 Q.11より