糸球体性血尿を疑う尿所見は?

(a)赤血球円柱
(b)潜血反応3+
(c)変形のない尿中赤血球
(d)赤血球1〜4個/強拡大
(e)白血球エステラーゼ陽性









【解説】
 日常診療では試験紙による簡便な潜血反応が用いられる。しかし、横紋筋融解によるミオグロビン尿や血管内溶血によるヘモグロビン尿でも陽性となるため、潜血反応がすべて血尿を意味するわけではない。
 血尿と診断するには尿沈渣で、赤血球の存在を確認する必要がある。健常人でも尿沈渣に1〜4個/強拡大(400倍)の赤血球を認めることがあるため、5個以上/強拡大の赤血球を認めた場合に血尿と診断する。
 次に、赤血球形態から、血尿が腎を含む上部尿路由来か、尿管、膀胱などの下部尿路由来かを推定する。糸球体由来の血尿の場合は、尿細管を通過する際に浸透圧などの影響を受け変形するため、不均一な形態の赤血球が、下部尿路由来では変形のない均一な形態の赤血球が見られることが多い。赤血球円柱は糸球体から漏出した赤血球が尿細管腔内で濃縮され、円柱状になったもので、糸球体性血尿を意味する。また、蛋白尿を伴う場合も、糸球体性血尿である可能性が高い。

参考文献
1) 日本腎臓学会 血尿診断ガイドライン検討委員会:血尿診断ガイドライン.日腎会誌 48S:5-6, 2006.

日本内科学会 2013セルフトレーニング問題 Q5より