スギ花粉症:トリアムシノロン(ケナコルト)の筋注の是非について

 全人口の30%程度いると考えられているスギ花粉症の方は、症状が出ている間、生活上支障が出てくるため、適切な治療が求められる。抗アレルギー薬の内服、点鼻、点眼、副腎皮質ステロイドの点鼻、ロイコトリエン受容体拮抗薬が選択肢に挙がる。抗アレルギー薬を症状発来前から内服していると、症状悪化の期間が短いとされている。長期的な寛解を考えるなら、特異アレルゲンに対する免疫療法を考慮する。即効性はないが、アレルギー体質を変えることができる唯一の治療法とされている。
 また、トリアムシノロンの筋肉内注射は、3か月程度の間、ほぼ完全に症状を抑制し得るが、副腎抑制が3か月程度継続するため、副腎クリーゼ他の副作用の観点から対象者は限定される。喘息死を高い確率で起こし得る、極めて重症な気管支喘息の合併、かつ低アドヒアランスの症例に緊急避難的に使用することが示されている。専門施設以外でこうした投薬が必要な可能性はほぼない。よって、軽症のアレルギー性鼻炎に使用することは厳に慎むべきである。

参考文献
1) 日本アレルギー学会編: アレルギー性鼻炎 アレルギー疾患 診断治療ガイドライン2010. 協和企画, 東京, 2010, 166-197
2) Ogirala, et al : Single, high-dose intramuscular triamcinolone acetonide versus weekly oral methotrexate in life-threatening asthma : a double-blind study. Am J Respir Crit Care Med 152: 1461-1466,1955

日本内科学会 2013セルフトレーニング問題Q3.解説より