鉄過剰症2

(鉄キレート療法)
・総輸血量40単位、フェリチン1000ng/ml以上(連続2回、2ヶ月以上)で鉄キレート療法開始
・鉄キレート療法の治療目標はフェリチン値500-1,000の維持で、2回続けて500以下なら治療休止。
・経口キレート剤デフェラシロスク(DFX,エクジェイド(R))は1錠(125mg)で1161.6円で、体重50kgの人に20mg/kgで用いた場合、8錠=約9,300円/日となり、薬価ベースで28万円/月、3割負担で83,700円/月、1割負担でも27,900円/月の負担が生じる(>_<)
・DFXの副作用は消化器症状、皮疹、肝障害、腎障害。

(非アルコール性脂肪肝
・肥満によるインスリン抵抗性で単純性脂肪肝が生じ、二次的な障害が加わると非アルコール性脂肪肝性肝炎(NASH)に移行
・肝臓への鉄過剰蓄積は酸化ストレスの原因となる非アルコール性脂肪肝のうち約10%がNASH
・単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の鑑別はフェリチン値が高ければNASHと考えて良い。
・Ⅳ型コラーゲン7sがSSとNASHの鑑別に役立つ(参照:http://wellfrog.exblog.jp/7337840/

(慢性腎臓病と鉄代謝
・TNF-αはトランスフェリン受容体(細胞内へのFe取り込み)発現の亢進とフェロポルチン1(細胞外へのFe汲み出し)発現の低下を遺伝子・蛋白レベルで来す(培養細胞レベル)。
・慢性腎臓病(CKD)は持続的な高サイトカイン血症を有する慢性炎症なので、TNF-α、IL6は上昇。IL6によりヘプシジン増加し、細胞外へのFe汲み出しが減少し、細胞内はFe過剰、血漿レベルで不足を生じる。

(慢性肝疾患と鉄代謝
・C型慢性肝炎の瀉血の際には鉄制限食の栄養指導を行う。
・肝細胞の鉄取り込みにはトランスフェリンレセプター1(TfR1)がトランスフェリンレセプター2(TfR2)より重要である。TfR2はhemochromatosis gene(HFE)、ヘモジュベリン(hemojuvelin;HJV)と共同して肝臓でのヘプシジンの合成に関与している。
・ヘモクロマトーシスの責任分子として最初にクローニングされたのがhemochromatosis gene(HFE)である

(C型慢性肝炎と鉄代謝
・肝内鉄過剰により肝発がんが促進される。
C型肝炎の最善の治療はインターフェロンであるが、無効例や治療不能例などその恩恵を得られない人に対しては、今後適切な瀉血療法の普及や効率的で簡便な経口鉄吸収阻害薬の開発が課題である。