ファイトレメディエーションに関する事(反省も含む)

 ファイトレメディエーション(phytoremediation)とは、植物が根から水分や養分を吸収する能力を利用して、土壌や地下水中の汚染物質を吸収、分解する技術である。植物の根圏を形成する根粒菌などの微生物の働きによる相乗効果によって浄化する方法も含み、バイオレメディエーションの一種。

植物を用いた地盤浄化法について
http://www.ceri.go.jp/contents/news/images/geppouNo646_2007.3_p42-44_re20110323-2.pdf

 上記、p43に「チェルノブイリ原子力発電所爆発事故検討例」として、ヒマワリの根にセシウム137が、花にストロンチウム90が蓄積する、とする”Duchenkov, S. : Removal of uranium from water using terrestrial plants, Environ. Sci. Thechnol. 31(12), pp.3468-3474, 1997”の引用をしている。が、「危険性が失われるまで30年以上かかる放射線物質を20日間で95%『除去』できる能力を有する」と記したため、放射性物質が消えてなくなるかのごとく理解する人も現れた。

 よって、http://powerbreathing.seesaa.net/article/192024691.html などの要望により、下記のような、補足説明がされた。

http://www.ceri.go.jp/contents/news/20110322.html

補足内容
当該箇所は、植物による土壌中の放射性物質の吸収の研究事例を紹介したものです。
 ここで紹介した事例は、植物が一部の放射性物質を土壌から吸収して、その植物の体内に蓄積させることを除去と表現したものであり、放射性物質を分解したり消滅させたりするものではありません。空気中や根の届かない範囲の放射性物質に対する効果は期待できませんし、全ての放射性物質に効果があるかどうかも不明です。


 放射線物質に関する普通の知識があれば、上記のような補足がなくとも、その内容は分かるはずですが、数字や事実の一断面だけを伝えることによって、その内容が曲解されて、一気に広まる怖さを知りました。基本的に、Twitterにせよ、FaceBookにせよ、情報発信する時はソースや原著を確認するように努めていますが、今回はラジオとネットで、それぞれ別のソースで同じ内容の発信があったため、十分に確認せずに情報を拡散してしまった。

 地震直後の津波警報のデマのように急を要するものと比べると、時間的余裕があったのだから、もっと慎重になるべきだった。まだまだ甘いぞ>自分


 原著を読んでのTogetterがありますので、こちらもご参考ください。
http://togetter.com/li/115594